この本面白い


これから本の紹介もしていきます。読みやすくい良書を集めたいと思います。
この本面白い(13)   平成20年4月号の医学雑誌「治療」vol90(4)2008 慢性腎臓病(CKD)特集
慢性腎臓病(CKD)特集

平成20年4月号の医学雑誌「治療」vol90(4)、2008.は、慢性腎臓病(CKD)特集でしたが、「いまい内科クリニックでの対応」という題で小論を投稿する機会を得ました。

昨今注目されるCKDについて、当院での実際に体験した腎臓病の症例を中心にまとめました。よいまとめと勉強の機会になりました。

今回あらためて、慢性腎臓病(CKD)というのは長い経過になるので、地域の開業医がプライマリケアとして診療にあたるのが望ましいのではないかと思いました。

また担当する医師としても、血圧、脂質の管理、食事の指導など、多方面なかかわりが必要です。ぞくぞくと登場する有効な新薬をはじめ多種の薬剤を駆使して、とてもやりがいのある仕事だと思います。

今回の論文の掲載を機に、今後も一層、腎臓病診療に尽力したいと思います。

(平成20年4月15日)

   
この本面白い(12)   「がんの在宅ホスピスケアガイド」
「がんの在宅ホスピスケアガイド」
吉田利康著
日本評論社 1500円

私たちの友人である、吉田利康さんが「がんの在宅ホスピスケアガイド」という著書を発表されました。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/info/book_item/20071213-OYT8T00206.htm

ご自身の奥様との闘病体験をもとに、在宅ホスピスケアを通じて出会った多くの人たちとの交流を通じて、在宅ホスピスケアを願う患者、家族のためのガイドブックを作成されました。

素敵なイラストとあいまって、優しくて、時に鋭いまなざしで医療者、患者に等分の視線を注ぐ視点がすばらしいです。

ぜひご一読をお勧めします。


 
この本面白い(11)   「生物と無生物のあいだ」
「生物と無生物のあいだ」
福岡 伸一 著
講談社現代新書 760円

いま本屋さんに行くと、この本がかなり店頭に積んである。
さまざま新聞の書評でも紹介された、面白くて一気に読めると評判の、サイエンスノンフィクションであるので、私も早速読んでみた。

確かに面白い。

この本の著者は、福岡伸一先生である。
http://www.chem.aoyama.ac.jp/fukuokalab/
現役の生物学者である先生が、「生命とはなにか?」という命題の解説に取り組んだ本である。

彼は、生命とはなにか?という問いに以下のように答える。
1、生命とは「自己複製するシステムである。」
そして、自己複製を可能にする、おそらく20世紀最大の生命科学の発見である、DNAのらせん構造の解明にまつわる話を紹介してくれる。

1953年、ワトソンとクリックにより英の科学雑誌ネイチャーに発表された、DNAのらせん構造解明の論文は、なんとわずか1000語で書かれた短文であったという。そしてらせんの構造に方向性があり、互いに相補的な構造をなすという知見は、同時に自己複製の本体をも見事に説明する知見だった。

この偉大な発見にまつわる話として、ノーベル賞を受賞したワトソンとクリックの陰に隠れて、DNAのX線構造解析を通して、らせん構造の解明に多大の貢献をしたロザリンドフランクリンの業績を交えて、世紀の発見の裏に隠された人間模様をも解説してくれる。

次いで、彼は、生命とは、
2、「動的平衡にある流れである」と定義する。

その分かりやすい説明に、彼は浜辺の造られた砂上の楼閣に生命体を例える。
押し寄せる波に洗われるたびに砂上の楼閣の一部の砂は崩れて海に運ばれる。
そのままでは、あっという間に崩れてしまう楼閣が、しかし波にさらわれる一方で、波によって運ばれる砂で修復されるとすれば、生命体は本来のカタチを損なうことなく存在しえる。と解説する。

実際、放射性同位元素で標識されたアミノ酸を餌として3日間与えられたネズミの実験では、3日間与えられたアミノ酸の60%がネズミの体内に取り込まれたという。まさしく上述の砂上の楼閣のように、私たちの体は、毎日その組成から激しくダイナミックな新陳代謝を繰り返しているのである。
固体と思っている生命体も、ちいさな原子のレベルでみると、毎日激しく入れ替わる砂粒の集合体ということができる。

最後に、ご自身が取り組まれた実験を紹介されているが、その実験は、生命の機能に重要な役割を演じると思われるタンパク質を発見し、それを遺伝子操作することで発現しないように操作したノックアウトマウスの観察から、たとえひとつの非常に重要な役割をもつタンパク質の遺伝子を壊して、その生体での発現を止めたとしても、生命はその他の代償する機構を使って、生命体の維持を可能にするという実例を紹介されている。

生命とは互いに代償するしなやかさをもちつつ、動的平衡を維持するシステムなのである。と。

小さな原子、小さなタンパク質のピースの無数とも言える集合体からなる生体は、受精卵が成立した瞬間から、時間のながれに沿って、組み込まれている生命のプログラムに沿って、自己複製をしながら、動的な平衡状態を保ち続けるシステムといえる。

随分、原著を意訳したかもしれませんが、あらためて生命とはと考えさせてくれた本でした。
このような原子の時間軸での振る舞いの中に、意識が生まれ、記憶が生まれ、感情が生まれていく。
あらためて、「生きる」とは、不思議な現象であると感じた次第です。

DNAの発見に続く20世紀の生命科学の進歩に触れながら、生命とはという問題について、分りやすく解説してくれた、時には文学的な感性も光る好著でした。
さすがに、書評で高い評価を得ることはあると思いました。

なお、福岡伸一さんの名前を、ネットで探していたら、もう一人の気になる作家、内田樹さんのブログに行き当たりました。
http://blog.tatsuru.com/
次は、この今年の、小林秀雄賞を受賞された、内田樹先生の本を読んでみたいと思います。

 
この本面白い(10)   「寡黙なる巨人」
「寡黙なる巨人」
多田富雄著
集英社 1575円

世界的な免疫学者として、あまりにも有名な東大教授にして免疫学者である多田富雄先生が、突然の脳梗塞に倒れられてからの復活の体験記です。

突然、まったく右半身の動きと声を失うことになった多田富雄先生ですが、一時は自死も覚悟した状況から、懸命のリハビリに取り組まれます。
「寡黙なる巨人」とは、そんな懸命のリハビリの結果、かすかに動き始めた自分の足に気づいたとき、彼は、自分本来のからだは脳梗塞のために動かなくなってしまったはずだ。今日、再びわずかながら自分のからだが動き始めたのは、自分のからだの中に、新しい人、「寡黙なる巨人」が現れたからだと、書いておられます。

http://www.st.rim.or.jp/~success/tadatomio_ye.html
http://www.st.rim.or.jp/~success/tadatomio2_ye.html

脚光を浴びる人生から、一転、重度障害者の人生へ。
死をも覚悟した心境から這いあがる姿勢に、そしてさすがに一流の科学者らしく自らの姿を客観視する姿に、ある意味、人間の本質、可能性を感じました。

自作の詩の中から、引用です。

「死ぬことなんか容易い
生きたままこれを見なければならぬ
よく見ておけ地獄はここだ
遠いところにあるわけではない
ここなのだ 君だって行けるところなのだ
老人はこういい捨てて呆然として帰っていった」

スピリチュアルペインといったものは、こういう痛みかもしれないと思いました。

脳梗塞を患った人の心の機微を、そして再生への歩みを。
リハビリテーションとは、単に喪失した機能の回復ではなく、人間性の回復である。という多田富雄先生の発言は、多くの同病を患う患者にとって、また障害者にとって、大きな支えになることだと思います。

脳梗塞に倒れてからの闘病記ですが、御趣味でもあり造詣の深い「能楽」からの引用や、折に触れてのエッセイも交えて、薀蓄の深い闘病記と拝見しました。

ご一読をお勧めします。

   
この本面白い(9)   「物語の役割」
「物語の役割」
小川洋子著
ちくまプリマー新書 680円

小川洋子さんといえば、「博士の愛した数式」という本でベストセラーになって有名な方ですが、透明で静謐な文章が印象的な作家です。
その小川洋子さんが、小説はいかにして生まれるかといったことを御自身の体験の中から、綴ったのがこの本です。

人は皆、物語を持っている。
小説家は小説を書くにあたって、ストーリーを書くのではない。
すでに、あちらこちらに隠れ潜んでいる物語を掘り起こすのだ。
そうすれば物語は、小説のなかで自然に語りだす。

小説を書くとは、そういうことなんです。
と著者は静かに語ります。
次いで、物語の役割にふれて、、、、

たとえば、非常に受け入れがたい困難な現実にぶつかったとき、人間はほとんど無意識のうちに自分の心の形にあうようにその現実をいろいろ変形させ、どうにかしてその現実を受け入れようとする。
もうそこで一つの物語を作っているわけです。

自分にとって悲しいことはうんと小さくしてというふうに、自分の記憶の形に似合うようなものに変えて、現実を物語にして、自分の中に積み重ねていく。

そういう意味でいえば、誰でも生きている限りは物語を必要としており、物語に助けられながら、どうにか現実との折り合いをつけているのです。


開業医という仕事は、患者さんの身近にあって、個人個人の物語を、あるいはひょっとするとその最終章を仕上げるお手伝いをすることかも知れませんね。

私にとっても、開業医という仕事は、そんな患者個人の物語を読みとくような、そんなふうに患者さんに関わりたいなと、思った次第です。

いま、日本の医療は、大きな変革期にあります。
それが実感として、感じられます。
これから、益々効率が求められていきます。

保険証もICカードになり、さまざまな医療情報が一元化され、集積されようとしています。
管理医療がどんどん進められていく、そんな時代の流れのなかで、患者個人の思いを大切にして、それぞれの物語を読みとく、そんな姿勢を忘れないでいたいと思います。

   
この本面白い(8)   「あなたの家にかえろう」
おかえりなさいプロジェクト

”あなたもわたしも仕事が終われば家へ帰る。
それと同じように、人生という仕事が終わる時は家に帰ろう。”

私の友人で尼崎の桜井隆さんたちが中心になって作った在宅療養のためのガイドブックです。
桜井さんたち医師だけでなく、ケアマネージャー、看護師、そして遺族の方も含めて、在宅療養なかでも在宅で人生の最期を迎える在宅ホスピスを支えようとする有志が集まった「おかえりなさいプロジェクト」が作成しました。

在宅医療の実際、在宅医療を支える訪問看護ステーションなどの紹介、相談の窓口、医療費のこと、そして実際の臨終の際の対応など、在宅医療のエッセンスが優しい言葉とイラストで飾られています。

在宅医療を推進する勇美記念財団の助成により作成されていますので無料(送料のみ負担)です。
冊子ご希望の方は、尼崎市のさくらいクリニックまでお申し込みください。
http://www.reference.co.jp/sakurai/

当院でも受け付けております。

   
この本面白い(7)   「名言セラピー 〜3秒でハッピーになる〜」
デイスカバー社 1,200円
ひすいこたろう著

たまには、軽く読める一冊を。
たった3秒でハッピーになるという、軽いキャッチコピーですが、意外と、本当かも。
ほんわか、ハッピーになるのに、案外時間は問題ではないかも知れません。

たとえば、、長寿世界一のギネスレコードを持つ、泉八千代さん(120歳237日)の名言として、泉さんが最年長を記録した記念のパーテイーの席上で、司会の人から、「どんな女性が好きですか?」という質問に対して、世界最年長の泉八千代さんは、照れながら、「わしはこう見えても、甘えん坊なところがあるから、年上の人が好き!」と答えたそうです。
このユーモアセンスが、健康長寿の秘訣かも?!というような、素敵な名言が集められています。

著者のひすいこたろうさんは心理学を勉強しながら、さまざまな人生の達人たちの人生を3秒で変えるものの見方、視点を紹介してくれます。
ものの見方、捉え方で、こうも気持ちが変化するということ。

小さな本ですが、読みやすい工夫がしてあって、ちょっと落ち込んだときなんかに有効かも知れません。ご紹介します。

   
この本面白い(6)   「〜初学者から専門医までの〜腎臓学入門」
東京医学社 4,200円
日本腎臓学会編集委員会編集


この本は、日本腎臓学会誌編集委員会が中心になって、最近の広範な腎臓学の進歩を解説したものである。
医学専門書ではあるが、大きな活字と平易な文章で分かりやすい記述に工夫が見られる。

序言の言葉に、東京慈恵会医大の川口良人教授が、「腎臓病専門医の標準的到達点をしめすテキストとして、また腎臓病学の最新の、整理された情報源として参照される価値のあるもの。」と記載されているように、私のように、町の開業医として実地の臨床を続けるものにとっては、有難い教科書である。

昨今、インターネットが花盛りであるが、学会のような学術団体が本書のような、まとまりのある教科書を発行していただくことが、医師の生涯教育には必要だと思う。
今後も継続して改訂が行われることを願います。

医学専門書ではありますが、腎臓病学の現時点での分かりやすい解説書として有用と思い、紹介致します。

東京医学社のホームページからも購入可能です。
http://www.tokyo-igakusha.co.jp/tankou/naika/jinzougaku.htm

   
この本面白い(5)  「常用字解」 「桂東雑記I」
平凡社 2,940円
白川静 著


白川静博士のお名前は、以前から存じておりました。
日本の漢字学研究の泰斗であられ、長年の業績から平成16年度の文化勲章を受章されたとお聞きしておりました。

一度、その著作を読んでみたいものだと思っておりましたが、先日市内の本屋で、白川先生の書かれた、「常用字解」という、常用漢字1945字について、その成り立ちを解説された基本辞典を求めることができました。

興味のあるところ、ぱらぱらと紐解きますに、私達の身の回りで、日常使用する漢字にこんなに奥深い、豊かな世界があったのかと目を見張る思いでした。

たとえば、私の名前の一字、「信」という字を紐解いてみますと、「人と言とを組み合わせた形、神に誓いを立てた上で、人との間に約束したことを『信』という。それで『まこと、まことにする』の意となる。」と記載されています。

こうして、自分の名前に当てられた漢字の意味を知るにつけ、名づけてくれた両親への感謝の気持ちもあらためて感じる次第です。

カタカナ言葉が氾濫する現在、あらためて漢字の世界に籠められた、われわれ日本人の歴史や精神性を思索するに良い本ではないかと思いました。

いい本に巡り合ったなと思い、ここに御紹介させて頂きます。
おなじく、「桂東雑記」は、白川博士の漢字をめぐるエッセイ集です。


平凡社 1,890円
白川静 著
   
この本面白い(4)   「〜初学者から専門医までの〜腎臓学入門」
集英社 2,205円
佐野藤右衛門著

久しぶりの良書の紹介です。この本は、ある林業を営まれる方からご紹介いただきましたが、もうすぐ今年も桜が本番となります。この本を読んで桜の見方が少し変わりそうです。「桜よ」というタイトルが示すように、日本の国花である、さくらへの想いを込めた一冊です。いうまでもなく、桜は日本の象徴であり、その淡い花の色と、咲き誇るあでやかさ、そして散り際の潔さなど、まことに日本人の美意識を象徴するものです。

「敷島のやまとごころを人とはば 朝日ににほう山桜花」と詠んだ本居宣長は、自らの墓標には一本の桜を植えよと願い、西行法師は「ねがはくは 花のしたにて 春死なむ そのきさらぎの 望月のころ」と歌っています。

そのような日本人を魅了する桜を守り、育てる「桜守」の熱い想いを綴った本です。
著者の佐野藤右衛門さんは、京都植藤造園の第16代当主とのこと、仁和寺御室御所に代々仕えるお家だったそうですが、第11代が植木職をはじめられ、第14代より特に桜守と呼ばれるようになったそうです。日本の桜を守るべく、本願寺の大谷光瑞門主の庇護のもと、この第14代が日本中の名桜を集めその保護に尽力されたのです。

日本には、桜の種類はおよそ300種以上もあるとのこと。
でも、大まかには日本に自生する桜は、山桜、彼岸桜、大島桜の三種類だそうです。簡単な3種の区別の方法が書いてありました、大島桜は葉の表面に細かい緻密な繊毛とよばれる毛が生えているそうです。これで食べ物を包むと腐敗菌が入りにくく、防腐作用があるそうです。山桜の幹はツルッとしていて、裂け目が横に入り、皮細工に使われるとのこと。一方、彼岸桜の裂け目は縦にはいるそうです。

京都円山公園の枝垂桜が昭和22年に枯れた時も、第15代佐野藤右衛門さんが移植して、2代目の枝垂桜を育てたという苦労話。台風の時には桜の幹を抱えて嵐の中を踏ん張って守ったというようなエピソードも紹介されています。また兼六園の天然記念物にまで指定された菊桜を守るために、菊桜の接ぎ穂を口にくわえて湿気を与えながら京都に運んだという話など、桜に賭けた人生の迫力に身じろぐ思いです。

いま日本の桜の80%がソメイヨシノだそうですが、この染井吉野とは、明治初期に東京の染井墓地近くの植木屋が「吉野山から採ってきた」と称して売り出した、一種のまがいものだそうです。もともとは伊豆あたりの大島桜と江戸彼岸桜が天然交配して出来た一種の突然変異だそうですが、染井吉野は接木がしやすくて、成長がものすごく早い、またどこに植えても同じように咲くといった便利な桜だそうで、いまや日本の桜の代名詞にもなっています。現在日本の桜を席巻する、この染井吉野は人間の手で作られたクローン桜だということを知りました。絶えず人の手をかけてやらねばならず、そして寿命も50年とかなり短い品種ということです。佐野藤右衛門さんは、桜を愛でるには山桜を一として、染井吉野はどこでも同じように咲く桜として、面白みがない深みがないと嘆いておられます。

藤右衛門さんは、この本の中で日本の名桜を紹介されていますが、以下に列挙します。
いつかこれらの桜を訪ねてみたいものです。

岐阜根尾谷の薄墨桜、北海道根室の千島桜、
京都御所の左近の桜、平野大社、左大文字山の西の原谷の紅枝垂桜、
府立植物園ちかく鴨川の半木の道、清水寺うらの地主神社の桜、
仁和寺の御室桜、京北常照皇寺の九重桜、などなど。

ちょうど、平成17年3月19日の日本経済新聞に日本の名桜のランキングが載っていましたので紹介します。

1. 三春滝桜(福島県三春町、シダレザクラ)
2. 根尾谷淡墨桜(岐阜県本巣市、エドヒガン)
3. 醍醐桜(岡山県落合町、エドヒガン)
4. 山高神代桜(山梨県北杜町、エドヒガン)
5. 荘川桜(岐阜県高山市、エドヒガン)

もう一人、櫻癖(おうへき)と自称した、桜守 笹部新太郎翁のコレクションが酒ミュージアムで開かれているそうです。
武田尾の亦楽山荘にも出向いてみたいものです。 http://www.hakushika.co.jp/group/culture.php

語りかけるような文章から桜への熱い想いが伝わってくるだけでなく、本当に装丁の美しい本です。中のページにはところどころ上欄に花弁が舞っており、この装丁の美しさが桜への愛着を一層伝えます。私もいつか、こんな美しい本を一冊書いてみたいなと夢見て読後感と致します。

   
この本面白い(3)  「禁煙外来の子どもたちその後」
奈良女子大学教授
高橋裕子 著
 東京書籍発行 1,500円

高校生や、中学生の喫煙はあるんだろうなと思っていましたが、この本を読んで小学生までもが次々と診察に来ているという実態に驚きを感じました。
同時に喫煙の低年齢化に対して、子供たちと正面から向かい合い、これは病気(ニコチン中毒)であると認識して真摯に治療にあたっておられる著者たちの活動の一端を伺い知りました。また私たち大人一人一人が、自覚を持つ事が大事であり、禁煙指導は地域ぐるみで行っていく必要があると痛感させられました。

本の帯に記載されている、「タバコを吸う子どもたちを次世代に残さないこと。このことは私たちの世代の大きな責務です。」という言葉に、著者の願いを感じ、誠に同感とうなずく次第です。
具体的な例も沢山あり、すぐにでも禁煙指導に役立ちそうです。
子供の喫煙に悩んでおられる人たちだけでなく、ひろく喫煙されている方々に読んでいただきたい一冊と思い、ご紹介いたします。

(文責;田中奈緒美)

   
この本面白い(2)  「元気が出る患者学」
元気が出る患者学
新潮社 720円
柳田 邦男 著


 柳田邦男氏著作の「元気が出る患者学。」
柳田邦男さんといえば、正統派のルポライターとして有名です。私も、学生の頃、「ガン回廊の明日」というがん治療の最前線を取材した作品を読み、ガン治療の最前線に挑む医師たちの熱い思いに胸をたぎらせた記憶があります。

柳田さんの作品は、それから長い間読む機会はありませんでしたが、飛行機事故を取材した作品や、息子さんの悲しいできごとを取材した脳死治療のこと、最近では医療事故などにも関心をもたれていることは知っていました。それから20年余りの時間がたって柳田さんの著書をまた手に取りました。

ずいぶん昔に、私にある意義深い薫陶を与えてくれた、「生きがい療法」の提唱者である、ちょっと変わり者の「伊丹仁朗先生」が贈ってくださいました。 ときどきこうして本を贈ってくださいます。 昨日の日曜日、この贈っていただいた御本を一気に読みました。今回の「元気が出る患者学」という、この新書は、医師ではないが、かなり医療事情に詳しい立場の柳田さんならではの視点が私にはかなり好感を持って映りました。おそらく皆様もそうでしょう。

この手の本は、医療者自身によるものか、あるいは患者サイドにたつものかの どちらかであるのが普通で、柳田さんのこの本は、どちらかというと患者サイドとはいうものの、医療者側にもそれなりの理解を寄せていてその点が好感をもった理由です。

いくつかの滋味ある言葉の中から、、ある章では、闘病とは「病気」について知ることと、同時に、病気を背負ってよりよく生きるための「生き方」について知ることの「二正面作戦」であるとして患者を励ましておられます。またある章では、医療者に求める患者への対応として、「医療とは、その人ならではの 個性的な人生街道を歩んできた患者と、医学、医療の職業人としての人生を歩んできた医療者が出会う交差点で共同で創る[作品]だ。として医療者を啓蒙しています。

ほんとうに私はこれらの言葉に共感を憶えます。そして医療者も、いつでも患者の立場になりえる存在であること。 たまたまその瞬間、医療者という立場に立つに過ぎないものであること。そんなことを思います。このような患者と医療者の双方の立場に立って、発言できる人は、そう多くはいないと思いますが、であるからゆえにこのような人の存在は、これからの医療のあるべき姿を模索するには大切だと思います。

末尾には、多くの患者会の連絡先や、生き方を教えてくれる参考書がならび、文字通り、元気がでる患者学と題するにふさわしい内容と思いました。 一読をお勧めします。

   
この本面白い(1)  「定年教授は新入生」
定年教授は新入生
集英社 1,600円
徳島大学名誉教授
島 健二 著

 金沢大学を卒業した後、私は大阪大学へ行くことにしました。
加賀百万石とはいっても、大阪に比べれば金沢は本当に小さな街です。北陸の片田舎から出てきた私に、大阪はそして大阪大学は巨大で、目が回りそうでした。

進学した医局の中で出会った先生が、この本の著者である島先生です。
当時は助教授でした。
私の属するグループとは異なりましたが、先生は病棟の回診を担当され、回診の前夜はハリソンの内科書を遅くまで読んでおられた姿が今も思い出されます。

回診は面白くて、随分いろいろなことを教えていただいたように思います。
後に徳島大学の教授になられた先生から、著書が届きました。
題して「定年教授は新入生」。

島先生は、老年病学、糖尿病学の権威で、日本糖尿病学会会長も勤められた、 重鎮であります。
現在は徳島大学を退官されましたが、なんと再び大学共通試験を突破されて、 新入生として、「考古学」の勉強をされています。

その顛末を記したのがこの書ですが、世間巷にいう老人、すなわち「虚弱であり、庇護すべき存在?」という社会的定義に挑戦するという人体実験の様子が述べられてい ます。
おもしろくて一気に読みました。

内容もさることながら、文を書くというのはこういうことなのかと思わせるほど、ちりばめられた豊かな言葉使いなど、洒落ていて収まりのよい言葉使いは、一層文章を ふくよかにして読みやすいものに感じました。
教養というのはこういうものを言うのでしょう。

自分の人生もこうありたいと思いながら、もう20年も昔になった先生との出会いを思 い出しています。
 高齢化社会が本格的になる今、このような強力な老人が?日本を救うのではないでしょうか。
島先生ありがとうございました。
私も先生のスピリットを見習って、がんばります。


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〒665-0021 宝塚市中州2丁目1-28 TEL 0797-76-5177 FAX 0797-76-5188