できごと徒然
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No.0101

できごと徒然(101) 〜高齢社会への処方箋〜


平成26年4月19日 第15回 宝塚緩和医療連絡協議会が開催されました。
会に先立ち、世話人会が行われ、当会は設立以来、主としてがんの緩和医療を中心に地域の医療連携を進める目的で発足しましたが、時代の要請を受け、今後は対象をがんに留まらず、在宅医療全般に視野を広げ、宝塚市の医療と介護の連携を進める会とする。と趣意の変更を確認致しました。

会は、85名と多くの参加を頂きました。
第一部は、多職種での話し合いの機会をできるだけ増やそうという目的からグループワーク形式としました。
テーマは、「在宅で困ったこと」として、ワールドカフェという形式で自由な会話から、問題を抽出する形式で行われました。


会の進行は前田修先生の司会のもと、宝塚市立病院、緩和ケア病棟 岡山師長、がん支援センターの吉田師長の協力で行われました。
医師、訪問看護師、ケアマネージャ、地域包括支援センター、はじめ宝塚市行政からも参加を頂き、にぎやかに自由な雰囲気で会話が弾みました。
「連携」、「独居」、「認知症」、「コミュニケーション」などが、キーワードとして抽出されました。


続いて、第二部は、国立長寿医療センター 在宅連携医療部長 三浦久幸先生にご講演を頂きました。
これからの高齢社会の到来に備えて設立された、ナショナルセンターです。
是非とも一度ご講演を頂きたいと思いお招きいたしました。
1、国策として進められる、在宅医療連携推進事業の現状と将来展望
2、運営されている、在宅療養支援病棟の現状
3、そして、高齢者の人生の最終段階における医療のありかたと意思決定のありかた
などについて、非常に密度の濃い、有意義な講演を頂きました。

1、印象に残ったお話としては、在宅医療連携拠点事業は今後平成27年度までは手上げ方式にて、順次拡大していくものの、その後は、各市町の義務として拠点整備が進められる方針であること。
そのための予算は従来一時的でハシゴ外しが懸念されたが、今後は介護保険から恒久的に配分される方針であること。など重要な方向性を教えてもらいました。
今後は市町村を中心に強力に在宅療養支援事業が整備されていくように思われます。

 

2、運営されている在宅療養支援病院については、
(1)地域の登録医の判断で入院を決定する。
(2)看護師が中心になって運営している。
(3)退院時も病棟から在宅の様子を伺い調整を行う。
などの運営の現状を教えてもらいました。
病院というハードを変えるのではなく、その運営を変えることで在宅療養支援拠点を形成している様子が分かりました。

運営の実績から、200人の在宅患者の在宅療養支援のためには、14床程度の病床があれば足りる。というデータも見せて頂きました。
宝塚市でも、たとえば(1)で確保される財源を(2)に投入することで、市内病院の中にこのような在宅療養支援病床が確保できれば、在宅医療も大きく変わるだろうと思いました。

3、最後は高齢者の終末期医療についての事前指示書のお話でした。
最近は、「終末期医療」という言葉は使わず、「高齢者の人生の最終段階における医療」と呼ぶそうです。
リビィングウイルと、代理人指定を確認することが必要であるとのお話でした。

2025年問題などと、超高齢社会の到来を間近にして当惑することの多い現在ですが、三浦先生のお話を聞いて、高齢社会への「国の処方箋」が見えてきた気持ちです。
2025年を迎えるのが楽しみになってきました。

 
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〒665-0021 宝塚市中州2丁目1-28 TEL 0797-76-5177