できごと徒然
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No.0102

できごと徒然(102) 〜高齢社会への処方箋〜


 平成26年8月28日(木)曜日、宝塚市立病院の講堂で、「宝塚における高齢者医療・介護の現状と未来」と題して、ミニシンポジウムが開催されました。

 平成25年6月に宝塚市内の介護施設に対して医療対応の状況をアンケート調査しました。

 なんらかの疾病を抱えた高齢者が住み慣れた地域で生活を継続していくためには、生活圏域の中の介護施設がどのような医療対応が可能かを把握することが重要な情報になると思ったからです。特にショートステイ可能な介護施設がどのような医療行為に対応できるかということは、在宅医療の継続に大きな支えとなります。1年かけてそのアンケート結果をまとめ冊子として発行しましたが、せっかくまとめたアンケート結果であるのでどこかで公表できないかと介護保険課と相談していたところ、宝塚市立病院の目にとまり、このようなシンポジウムの企画となりました。

 アンケートをまとめる作業の中で、高齢者救急の問題、高齢者施設の問題などに気づいたために、宝塚市消防署ならびに特別養護老人ホームのひとつである宝塚まどか園とのシンポジウムという形式が実現しました。

 今井からは、アンケートの結果報告を含め以下のような内容でお話しました。さまざまな医療行為への対応の現状報告、介護施設での看取り対応の意識調査、特別養護老人ホームでの看取りの現状、さらに他市医師会のデータではありますが、高齢者在宅医療の現状などを報告しました。これらの報告を通じて、たとえば在宅死の過半数は通常の死亡診断による看取りではなく検案死であるということを知り、私自身が少なからず驚きました。これらから高齢者医療と介護の現場は、消防署救急隊に大きく依存していることを指摘しました。

 続いて宝塚市消防本部 警防課長 消防司令長 高橋康宏さんからは、宝塚市の救急体制、出動件数の報告などがありました。独居高齢者からの事情聴取の困難さ、増加する介護施設の救急対応の施設差、蘇生不要(DNAR)への対応などに苦慮する現状が報告されました。

医師会として、かかりつけ医として、もう少し救急隊への情報の提供、DNARの意思の確認などを普及させる必要があると感じました。

 最後に、宝塚まどか園 居宅介護支援事業所長 岡崎重樹さんからは、日頃あまり見聞することのできない特養施設の現状、とくに看取りの現状などが報告されました。
司会の宝塚市立病院 地域医療室長 馬淵英一郎先生により、このような多職種の連携する会の必要性が問われ、会場一致で賛同されたことを受けて、来賓の中川市長からご挨拶がありました。
宝塚市としても本格化する高齢社会への対応に行政として対応するために、来年から組織編成を行い、行政主導で宝塚市にふさわしい地域包括ケアの推進に取り組みますという力強い発言がありました。

末岡医師会長からも、医師会としても一層の対応を進めるべく、各地域に応じた対応を進めて行きたいというご挨拶がありました。
妙中宝塚市立病院長からも、会が盛会に開催できたことと、次回の開催への期待をこめてご挨拶がありました。

 このシンポジウムに参加して、市内の多職種の方がそれぞれの立場で高齢社会の到来に前向きな姿勢であることが伺われました。さらに中川市長から、行政も組織編成して対応するという力強い言葉を聴くことができ、大変心強く思った次第です。同時に救急隊や介護施設との連携など、医師会として取り組むべき課題も多く気づかされました。少しずつでも課題の解決に向かうように皆さんと努力をしていきたいと思います。

 
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